2009/12/26 土曜日
 
 
 
序章:『日米地位協定』とは
 
ねいびーさん、そもそも『日米地位協定』って何なんですか?
 
『日米地位協定』は『日米安全保障条約』に基づいて結ばれた協定で正式名称は――
 
『日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定』
 
…長いわね
 
わかりやすく言うと「日本に駐留する米軍人の地位・扱いを定めたもの」ね
 
日本には『日米安全保障条約』の下、日本防衛の義務を負ったアメリカ軍が駐留しているし、また有事には遠く米本土から応援部隊も駆けつけることになっているわ
 
この協定では、それら米軍が作戦行動しやすいように“特殊な法的地位”を与えているのよ
 
代表的なものが――
 
○ビザ無しでの長期滞在(第9条)
○役所への外国人登録の免除(第9条)
○住民としてカウントされないので各種税金も免除される(第13条)
○米軍発行の運転免許証による公道走行の許可(第10条)
 
――などですね
 
これらを「特権的」と批判している人も多いようです
いわく“占領軍気分の不平等条約”と…
 
…別に目的もなく特権的待遇を受けているわけではないわ
全て理由があって定められているのよ

考えてみて――日常的に行われる部隊の移動・展開のたびにビザの発給や住所地の外国人登録なんて煩雑な事務作業を行うわけにはいかないわよね

まして公道の運転に日本の免許証が必要になったら、部隊はストップしてしまうわよ

 
確かにそうですね
 
そもそもアメリカが日本に対して片務的な防衛義務を負っている『日米安全保障条約』のほうが“不平等”って言えなくもないと思うんだけど…
 
あははは…
 
では、たびたび問題となっている米兵の犯罪についてはどのように定められているんですか?
 
犯罪行為に対する「裁判権」は
『第17条 刑事裁判権』の項で定められているわ
 
重要なポイントを要約・説明していくわね
 
17条1項
(a) アメリカ軍は「軍法に服する者(≒米軍人)」に、米国の裁判権を行使できる。
(b)日本国は米軍人・軍属・その家族に、日本の裁判権を行使できる。
 
「軍法」は軍隊の行動を律する法律よ
軍隊を組織・運用するための法律は特殊で、日本の法律ではカバーできない部分も多いので、ここは米国の法律が優先されるわけね
一方で、一般の犯罪については日本が裁判権を行使できるとなっているわ
 
17条3項
(a)「在日米軍内部の罪」「任務中の罪」はアメリカ軍が優先的に裁判権を持っている。
(b)そのほかの犯罪は、日本国が優先的に裁判権を持っている。
 
「任務中の罪」は米軍が優先的に裁くことができるわ
たとえば機密度の高い任務を帯びている途中で事故をおこしたとき…日本の警察には話せないこともあるわよね
また緊急性のある任務の途中で犯罪に巻き込まれてしまったら…犯罪捜査よりも任務を優先しなければいけないときもあるでしょ?
 
そんな場合を想定して設けられた条文なのよ
 
でも…
“任務中”とは思えない事例でも、米軍側が「被疑者は“任務中”だった」と主張して優先裁判権を主張する例があるようですが…
 
日本とアメリカ軍との“任務中”の解釈の違いよ
 
日本は“任務”を「朝から夕方の勤務時間」と考えているけど
アメリカは「(勤務日の)軍人は24時間体制」という考え方だからね
 
うむむむ…
 
さらに沖縄では同種の事件でも――
 
日本警察が現行犯逮捕した場合は日本に優先裁判権
アメリカ軍(憲兵隊)が(後日)逮捕した場合はアメリカに優先裁判権
 
――という慣例があり、これも日本が裁判権を行使できないと不信をいだく一因になっています
 
まぁ確かに…
70年代などアメリカ側が無理を押し通していたとも言える事例が多かったことは認めるわ
 
しかし90年代以降、地元に配慮し日本警察と協調して裁判権を考えるようになってきていることも知ってね
 
さてさて今回、問題となっている
『被疑者の身柄引渡し』に関してですが…
 
条文では、第17条5項ね
 
…この問題は次回、解説しましょうか
 
わかりました!
 
それでは皆さん
次回をお楽しみに
 
>>次回は『身柄引渡し』について解説します