2010/1/5 火曜日
 
 
 
第3講 沖縄県警も拒否!?『速やかな身柄引渡し』
 
第2講の最後で
『「逮捕」前には被疑者の身柄を拘束することができない』
と言っていましたが、どういうことなんですか?
 
警察といえども、自由勝手に人を拘束できないのよ
 
日本国憲法 第31条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
 
警察が被疑者の身柄を拘束するためには
『法律に定める手続き』=『逮捕状の請求』を行い
逮捕状を裁判所からもらわないとダメでしょ?
 
 
第1講の日本の刑事訴訟システムの図を見直してみて…
 
 
一旦、『逮捕』をしてしまうと――
 
48時間以内に、「検察官送致」
24時間以内に、「勾留請求」
10日間(最大延長20日間)の、「勾留」

 
――と、
最大でも23日間以内に起訴しなければいけない
 
警察の捜査(裁判で戦えるだけの証拠集め)に
タイムリミットが発生するのよ!
 
同じ容疑で、二度の「逮捕」はできないですからね
 
警察としては後が無くなってしまいますね
 
一方で、アメリカ軍では…
 
●個人IDとパスポートを取り上げている
●24時間の監視下においている
●司令官命令による転属・出張・展開の禁止、外出禁止

などの措置をとっていると伝えられているわ

 
法的には「拘束」ではないけれども
実質的には日本・沖縄から出ることができない
ようになっているんですね
 
 
これは日本警察にとって有利かもしれません
 
・被疑者は実質的な拘束状態で逃亡の恐れなく
・その間、じっくり証拠固めができる

 
ということですもんね
 
 
そうね
だから今回の<被疑者の速やかな身柄引渡し(論点A)>を
拒否しているのは日本警察の側だったりするの
 
報道を確認してみましょうか
 
『沖縄・読谷村のひき逃げ:米兵の引き渡し、村長が要請 国家公安委員長に』
 沖縄県読谷村で男性(66)がひき逃げされ死亡した事件で~(中略)~同村の安田慶造村長らが21日、警察庁を訪れ中井洽国家公安委員長に対し、日米地位協定の抜本的見直しや日米両政府に容疑者の早期引き渡しなどを求める文書を手渡した。
~(中略)~
 安田村長が容疑者の身柄拘束や立件を求める村民の怒りの声を伝えたのに対し、中井国家公安委員長は「自白がなくても裁判に堪えられる証拠固めをしなければならない。時間をかけてでも証拠集めをする。余分な配慮が働いているわけではない」と説明した。
 
国家公安委員長の発言
私の説明をふまえると、真意がわかるでしょ?
 
 
つまり――

論点A<被疑者の速やかな身柄引渡し>要求は
法的な根拠が無く、捜査にとってマイナスでもある

 
――ということ

 
…でも、やっぱり
任意とは言え事情聴取に応じないのは
日本人側としてはちょっとイヤな気持ちがします
 
日本では「任意同行」って、あまり断る人もいませんし…
 
う~ん
以前から思っていたんだけど日本とアメリカでは犯罪捜査・刑事裁判の考え方が根本的に違うんじゃないかしら?
 
事情聴取に関しては、そんな意識の差があらわれた部分だと思うんだけど…
 
 
明日は、日本とアメリカの考え方の違いについてお話してみましょうか?
 
>>明日は日米間の裁判に対する考え方の違いについて

 

 
■被疑者が書類送検されました!

『読谷村ひき逃げ 陸軍兵を書類送検』
 沖縄県読谷村のひき逃げ死亡事件で、県警は4日、在沖縄米軍が拘束していた同村の陸軍トリイ通信施設所属の2等軍曹クライド・ガン容疑者(27)を自動車運転過失致死容疑で那覇地検に書類送検した。地検は起訴した場合、米軍側に身柄の引き渡しを求める。
~(中略)~
 県警が任意の事情聴取をできたのは同11日から3日間だけ。同14日以降は取り調べが可視化されないことを理由に拒否された。ただ自動車運転過失致死容疑については、車に付着していた血液と毛髪のDNAが外間さんと一致したため、供述がなくても立件が可能と判断したという。

 
『書類送検』は、上の図でいうと
「検察官送致」のことです
 
本来ならば
 
「逮捕(=身柄を拘束)」→「(身柄を)検察官送致」
 
となりますが、今回のように身柄の拘束ができない場合
(=地位協定によって身柄引き渡しは「起訴」後)
「身柄」ではなく、起訴に必要な捜査「書類」のみ検察官に送ります
 
検察官はこの書類をもとに起訴(立件)するわけです
 
記事中にもあるとおり
物的証拠が揃い「供述がなくても立件が可能と判断」されたのですね
 
警察の皆さん
ご苦労様です!