2010/1/12 火曜日
 
 
 
最終講 「不平等」ではないんです
 
さて、事件を通して
『日米地位協定』について解説してきたけど…
 
私の率直な感想を述べるなら
「日本のマスコミは問題の一面しか報道していない」ということかしら?
 
 
『日米地位協定』は
「米軍人の特殊な地位を認める“ための”法律」ではないわ
 
「同盟国防衛の任務に必要な法的地位を定めた法律」
“特殊な地位”はその必要性によって与えられているにすぎない…そこを誤解してほしくないわ
 
 
そして、
「米軍が日本の司法を蔑ろにしている」わけではないの
 
「米国の法律のため被疑者の人権を守らなければいけない」のよ
日米の司法意識・捜査方法の違いが日本側から見たとき、“蔑ろ”にしていると見えてしまうのかもしれないけど…
 
でも、身柄引き渡しを拒否したまま
本国に帰ってしまった事例も多いと聞いたことがあるのですが…
 
それは真実よ
 
沖縄返還から70年代にかけては
●被疑者兵士の逃亡・帰国が容易
●アメリカが身柄の拘束や引渡しに非協力的

 ――などの問題があったわ
 
そのために日本側は
「泣き寝入り」せざるを得なくなってしまった…
 
でも、その後
●被疑者が逃亡・帰国・転属しないための措置
●日米間の「犯罪者引き渡し条約」による万が一の場合の捜査協力

 ――などの対応策が取られているの
 
過去20年について私が調べた限りでは
日本で起訴された米軍人は100%、日本で裁かれているわ
 
 
 
■特別ではない『地位協定』
 
『日米地位協定』同様に軍隊派遣国・受入国の
裁判管轄権について定めた協定は他にもあるのよ
 
<例>
北大西洋条約機構(NATO)地位協定
NATO諸国間において受入国は「公務外犯罪」の第一次裁判権を有する(日米の場合と同様)
 
日本も結んでるわよね?
 
現在、海賊対策のためソマリア沖で活動する自衛隊部隊の受入国であるジブチとの「地位協定」ですね
 
<例>
ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する交換公文(正式名称)
派遣された自衛隊員(&その他要員)に「外交特権」を認め、すべての事件に日本が裁判管轄権を持っている(ジブチ政府には一切の裁判管轄権が無い)
 
「外交特権」って
ずいぶん“不平等”じゃない?
 
いじめないでくださいよ~
 
うふふ…ゴメンね
 
でも、日本もNATO諸国も
「受入国を蔑ろにする」ために地位協定を定めているわけじゃないでしょ?
 
そうですね
「任務・部隊運用における必要性」
「被雇用者である兵士・隊員の権利保護」
 ――が目的です
 
 
 
■実は日本に有利?な『地位協定』
 
アメリカはNATO諸国、韓国などとも『地位協定』を結んでいるけど、日本との『地位協定』がもっとも受入国に有利な内容なのよ
 
そうなんですか?
 
被疑者の身柄引き渡しについて
 
基本的に<起訴後>
 
と、されているのだけど日本の場合
 
殺人などの重犯罪に関しては
<起訴前>引渡しに米側が“好意的配慮”

 
と、「日米合同委員会」で確認され
実際に何度も行われているわ
 
<起訴前>引き渡しを行っているのは日本に対してだけね
 
もちろん、簡単に判断したわけではないわよ
序章で説明した「任務上の必要性」や
第4講で説明した「法律問題」を踏まえたうえで
ギリギリの“配慮”ってところね
 
 
 
■最後に…
 
どうだったかしら?
 
『日米地位協定』について
みんなに少しでも理解を深めてもらえたなら嬉しいのだけど
 
どうしても、日本では裁判管轄権の問題
ばかりがクローズアップされていて
 
「日米地位協定は“不平等”だ!」って考えだったんです
 
でも、
“不平等”な部分には、背景と理由があったんですね…
 
そう、私がみんなに知って欲しいのは「背景と理由」なのよ
 
『日米地位協定』が何のために・誰のために存在するのか
 
――それは決して米軍人を匿うためのものではない…

 
それだけは心に留めておいてね
 
わかりました!
 
ねいびーさん
特別講座お疲れさまでした!