2010/5/10 月曜日

<この日記について>
日米間で懸案となっている「普天間移設問題」について、「ぴくせる☆まりたん」が軍事的視点から考察を行ったものです。政治的、地域的な要素は、あえて触れておりません。ご理解のうえお読みください。

 
■第4回:ヘリ部隊「65カイリ」制限と『徳之島移転案』

 
いま一番話題になっているのは
『徳之島移転案(一部移転案)』ですが…
 
この案に対してアメリカ側は
「地上部隊とヘリ部隊の距離は65カイリ以内」
という回答を出しています
 
『65カイリ(約120km)』とは?
 
ヘリ部隊は地上部隊を輸送・支援するのが仕事だから
地上部隊と離れるわけにいかないのは当然なのだが…
 
『65カイリ』とは
『地上部隊をヘリで輸送する場合の運用上の目安』
といったところかな?
 
代表例として『海上輸送』がある
 

●「65カイリ以内」の場合、ヘリはノンストップで
『ヘリ基地-地上部隊基地-艦艇』を往復、部隊を輸送できる
●「65カイリ以上」の場合、ヘリは『地上部隊基地』か『艦艇』において給油をうける必要がある
 
※米軍の運用の一例を概念的にまとめたものです。艦艇は移動するものであり、厳密なものではありません。

 
65カイリ以上離れた場合、
燃料給油や輸送の時間的ロスが大きくなり
現実的ではないのだ
 
つ・ま・り――
 
「65カイリ」以上では
海兵隊の艦艇運用に支障がでる!

 
――ということだ
 
『徳之島』の位置は――
 
 
だいたい、沖縄から350kmですねぇ
 
沖縄に近いが「県外」移設にはなる
 
 
これを見ると
65カイリにおさめるには「沖縄県外」は難しそうですね
 
『現行案』は
「航空輸送能力」の点で妥協した
 
だが、これ以上妥協すれば
 
海兵隊は海上展開能力にも支障がでる――
 
いや、存在そのものの意味がなくなってしまうのだ!

 
『現行案』以上は譲れない――のである
 
では、今日の内容をまとめます
 
●地上部隊とヘリ部隊は一体運用が不可欠であり、その範囲は『65カイリ』である。
●『65カイリ』を超えた場合、海兵隊の海上展開能力にも支障がでる。
●『徳之島』は沖縄から300km以上離れており、移転は難しい。
●『現行案』は航空運用面で妥協している。これ以上の変更は海兵隊の能力を維持できない。
 
でも、まりたん
艦艇輸送なら港に接岸すれば、できるじゃないんですか?

わざわざヘリで輸送しなくても…

 
確かに港で乗り込むのもアリだな
…その港が破壊されたら、どうする?
 
え?
 
何事も『余裕』が必要なのだ
次回は海兵隊が沖縄にいる意味と「抑止力」について!
 
そろそろ講座もおしまいかな?
 
 
■■補足■■
海兵隊が『現行案』にコダワル“もう一つの理由”
 
ヘリ部隊と地上部隊を切り離せないのは上で書いたとおりだが…海兵隊が『シュワブ(辺野古)沿岸』を最低条件としているのには、もう一つ理由がある
 
それが『空域管理権』だ!
 
『部隊の移設』といっても、ただ場所があれば良いというものではないぞ
日常的な飛行・訓練を行うためにはある程度、空域を自由に使えなければいけないのだが…
 
 
つまり、どういうことかと言うと…
 

<これまで名のあがった候補地>
●佐賀空港(佐賀県)
 福岡・長崎・宮崎空港に近く交通量過密であり、民間の管制下となる。訓練空域も無い。
 
●海上自衛隊 大村航空基地(長崎県)
 福岡・長崎・宮崎空港に近く交通量過密である。訓練空域も無い。現在、ヘリ整備用に一部区画をアメリカ軍が使用しているが、部隊移転は別次元で考えるべき。
 
●馬毛島(鹿児島県)
 近隣に「種子島宇宙センター」があり、ロケット発射準備中に飛行が制限される。
 
●徳之島(鹿児島県)
 民間の管制下となり、訓練空域も無い。

 
この点、沖縄であり
近隣に競合する民間飛行場のない『シュワブ沿岸』は、移転先としてはベターな選択肢なのだ